開高健について
小説家 開高健についてご紹介します。
開高健とは
1930年12月30日に大阪で生まれた開高健の小説家としての人生は、他の同時代の小説家と比べてかなり異色であったかもしれません。20代に壽屋宣伝部(現サントリー)で広告コピーライターとして洋酒文化を日本に根付かせた開高は、同時代に『裸の王様』で芥川賞を受賞したことをきっかけに、本格的に作家活動にはいることになります。
戦後の日本、そして世界を渡り歩き、常に人や物事の本質を観察しながら、ルポやエッセイ、そして純文学小説を精力的に創作。また、釣り、旅、美食に対しても造詣が深かった開高健の活躍分野は非常に多岐にわたりました。
遅筆だったため、決して作品の数は多くありませんが、行動の広さとは対照的に繊細なこだわりによる言葉選び、男心をくすぐる普遍的なダンディズム、そして、常に冷静な観察眼を失わない彼特有の作品群は、没後30年を迎える現代においても根強いファンを多く獲得し続けています。
いつの時代も色褪せない
開高健の作品世界
壽屋宣伝部時代に、広告コピーライターとして才能を開花させた開高健は、的確な言葉選びと独特な表現で物事の本質や世界の風景を示すのに長けた小説家でした。特に中期に書いた『輝ける闇』『夏の闇』などはベトナム戦争を背景にしながら、"私"を主人公に人々の生き様や戦争の悲惨さを描き、純文学としての完成度も非常に高く、国内外で評価を受けています。
また、小説の作品は少なかったものの、ルポやエッセイは晩年に至るまで数多く残しており、彼ならではの博覧強記とユーモアを感じさせる作品が目立ちます。